ここは私という人間の思考によって生み出された数々の文章を保管しておくところです。 コメント等いただけるとありがたいです。
時の忘れ物 ~記憶の片隅に忘れ去られた一筋の光~
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小説断片1
2005-07-22-Fri  CATEGORY: 昔書いたもの
2004年12月5日作成

もう、あまり時間がない。頭から滴り落ちる血液の量は次第に増え、意識はだんだん零の方向へ放物線を描き始めている。
急がなければ。今を逃すともう機会がない。
私は重い頭を抱え、血を滴らせながらどうにか脳符号化装置(ブレインエンコーダ)の座席に座った。
座席の脇には3つのボタンがある。
以前人体実験の際に見たとおり、左のボタンを押すと椅子は装置の方へとずるずる動いた。次に真ん中のボタンを押して椅子を上昇させ、最後に右のボタンを押すと目の前が眩しい緑色の光りで覆われてゆき、だんだんと意識が遠のいてゆくのが分かった。

・・
・・・
・・・・

どのくらい経ったのだろうか。レポートにあったように幽かな頭痛がする。ふと見上げると放電管やブレインポッドに僅かな血が付いていた。符号化は成功したのだろうか。それだけが心配になって咄嗟に椅子を飛び降りようとしたが、一瞬後になって全身に激痛が走る。
私は重傷の身だったのだ。分かっていたはずなのに・・・
マシンの放つ眩しい光りととろけるような陶酔感とがそれらを一瞬の間遠く彼方へと忘れられてしまったのか。
だんだんと意識が取り戻され、落ち着いてくると私は再びボタンを押して椅子を元の位置に戻した。そしてゆっくりと頭に手をやる。
手を見るとやはりまだべったりと血が付いていた。と同時に激痛が頭を襲い、私はしばらくその場に座り込んだ、
やっと頭痛が落ち着くと、ゆっくりと腰を上げてコンピュータの方へと向かった。
見えてきたコンピュータ群は、記憶にある限り、私が入所した当時に発売されたIntel社製の32BitRISCプロセッサーを搭載したIBM社製のコンピューター「ThinkPad535E」だ。
ようやくコンピュータにたどり着いた私は、DOS画面を起動してコマンドを打ち込み、自分の脳が符号化されているか、確かめてみた。
ログ画面を見ると、このマシンは暫く使われていなかったらしく、1年以上前から符号化が行われていない。画面の横に目をやると、今では珍しい日めくりカレンダーがある。今は2022年8月19日のようだ。検索プログラムで調べると、Brain015.brainというファイルの作成日時がカレンダーの日付と同じだった。このファイルが私の脳の分身なのだ。
だが、正確に符号化できているかが気になる。都合の良いことにこのコンピュータには脳ファイルを検査するプログラムが組み込まれている。私はそのプログラムを起動し、自分の脳ファイルを検査した。
画面にはただ一つのウインドウと、その中にプログレスバーがあるばかりだった。
暫くして警告音とダイアログが出た。「検査が終了しました。検査した脳ファイルには、欠落や不整合はありませんでした。この脳ファイルは完全です」と。
一瞬ため息をつき、続いてこの脳ファイルを自分のコンピュータにコピーするコマンドを入力した。
とそこで、背後から物音がした。そっと振り返ると銃を構えた黒ずくめの者がこちらを狙っていた。

to be conntenued

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